こんにちは
toiee Lab 亀田です。

前回の続きで「記憶」について説明します。

前回のメールの内容をまとめると、以下のようになります。

1. 学べていない人をヒヤリングした結果、「記憶が曖昧」であることがわかった

2. 記憶が曖昧だと、その先にある「実行」には到達し得ない

3. 幸いにも「記憶」には、厳しい基準を乗り越えた科学的な証拠がある

4. 科学的な結論６つを活用することで、学びは大きく変わる

ということです。

なお、以下の図も、思い出していただければと思います。

実行する、成果を出す

↑

自分の持つ知識、経験、技術を駆使する

↑

知識、経験、技術を理解している = 長期記憶

↑

統合プロセス ← 大抵、ここのやり方が間違っている

↑

短期記憶

↑

インプット（聞く、読む）

では、今日も「記憶」の話をしたいと思います。

今日の内容を理解できれば「記憶に注意を払うように」なると思います。それだけでも、学習能力がアップします。

学校教育では、以下のような勉強方法を教えます。例えば、漢字を勉強するなら

「流流流流流流流・・・」 

「乱乱乱乱乱乱乱・・・」

と同じ文字を何度も書きます。そして３日ほど連続して、同じ文字を練習します。そして「テスト」で覚えているか？を試します。

実は、このような学習方法は、ほとんど効果がない ことがわかっています。

私たちの脳の記憶の仕組みをざっくり図にすると、

「インプット → 短期記憶 → 統合 → 長期記憶」

のようになります。どんなものも「まず、短期記憶」に入れられます（ワーキング・メモリとは違います）。短期記憶は、４日もすれば消えていきます。なお、「消えるのではなく、引っ張り出せなくなっている」と考えられています。

何かを記憶したかったら、「忘れた頃に、想起する」のが効果的だと、あらゆる研究が示しています。想起とは「自分の脳から、何もみずに引っ張り出す」ことと思ってください。

例えば４日後(忘れる頃に)に「テスト」を行い、うーん、うーん、と思い出そうと頑張る。そうやっていると、強固な記憶が作られていきます。

一方で、「学んだことを、すぐにテスト」すると、短期記憶に入っているので、簡単に答えられます。この時、私たちは「覚えた」「理解できた」と勘違いします。これを「流暢性の錯覚」と言います。

一部の受講者は「７回聞く」ことをやっています。ところが、ほとんど覚えていません。覚えている気になっているけど、詳しく説明することができません。

しかし、本人の満足度は高いですし、「少しずつ学べている」と思っています。これは「流暢性の錯覚」です。つまり「学べてはいない」です。

先ほど説明しましたが「何かを覚えたかったら、想起練習をすべき」という事実から導きだせる結論は、

「何度も聞き返すことは、想起ではないので、記憶に残らない」

です。

何度も聞き返すことは、 「インプット → 短期記憶」 を行っているだけです。ですから、７回聞いても、１ヶ月もしたら、ほとんど何も覚えていません。長期記憶に入っていないので、何か複雑なことを実行しようにも、行動ができません。

どうすればいいか？というと、「耳デミーを聞いたら」その内容を、うーん、うーんと思い出しながら、自分なりに「図解」してみたり「誰かに説明」したりすると、記憶に定着しやすくなります。

ただし、「聞いた直後」にやるのではなく、４日後など時間をあけてから「想起」することが望ましいです。

また、「わかりやすく説明されたら、わかった、覚えた」と勘違いします。これも流暢性の錯覚です。

耳デミーは「わかりやす、楽しく説明すること」に徹した結果、「わかった」と錯覚させて、何も記憶に残せていない状態です。また、繰り返し聞いても、覚えないことが研究では示されています。

だからこそ、「自分なりに図にまとめる」「要約する」「人に教える」ことが必要になります。わかりやすかったから、わかったと勘違いしていることを、テストして確かめることが大切です。

こうやって筋トレで筋肉に傷をつけて、回復させることで成長させるのと同じように「脳に傷をつける」ように学ぶことが必要です。

大方は「義務教育」の賜物だと思いますが、私たちは「繰り返し」「集中」で学ぶことが、良い学び方だと勘違いしています。

様々な研究者が、様々な実験と議論を３０年以上重ねた結果は、「繰り返し」「集中」とは正反対です。

• 想起練習 ・・・ 自分の脳の中から、引っ張り出す
• 間隔練習 ・・・ 忘れる程度に、間を開ける
• 交互練習 ・・・ 違うものを混ぜながら学ぶ、全部わかる前に次に行く
• 多様練習 ・・・ １つの原則や、技術を多様なコンテキストで練習する
• 省察 ・・・ 自問自答、振り返りする
• 精緻化 ・・・ 自分の言葉で説明する

なお、もう少し違う階層では「生成学習」の重要性も指摘されています（これは、また今度、説明します）。

一つ一つを説明しているとメールが長くなってしまうので、割愛しますが、ポイントは「一般的に信じられている、思い込んでいる方法とは逆」ということです。

しかも悪いことに「すぐテスト」をするので、「流暢性の錯覚」が起こります。先生も、親も、本人も 学べていると勘違いします。

子供たちに「集中して宿題をしなさい」と叱咤するのは、逆効果です。毎日、毎日、繰り返し練習をさせるのも、効果が薄いです。努力の割には覚えません。忘れるぐらいは、間を開けた方がいいです。

また「交互練習」という考え方に従って、

• 算数ちょこっと -> 国語ちょこっと -> 理科ちょこっと -> 算数に戻って続きをする

のように、混ぜた方がよく記憶できます。これは、間隔練習の要素も含まれています。

それに「Focus & Defuse」という考え方があり、これも記憶が学習に大きな影響を及ぼします。子供が宿題を集中してやらされている状態はFocusです。しかし、これだけでは、良い学習にはなりません。Defuse (拡散）を織り交ぜることが必要です。

このような「ラーニングのコツ」を織り交ぜることで、記憶をしっかりと刻み込むことが大切です。別の言い方をすれば「長期記憶」にとどめることが大切です。長期記憶に入っていないと、他の知識や技術と織り交ぜて活用することができません。

今回のWordPressマスター講座は、「私たちが持っている知識、技術をすべて投入」しています。例えば、

• デザインについて
• デザインセンスは、どうやって身につけるのか？

や

• Webマーケティングの仕組み
• Webマーケティングの観点で提案できるようになる方法

や

• 検索エンジン対策
• 各種のツールのセットアップ（Google Analytics、Google Search Console、Google Site kitなど）

や

• コンテンツ（文章を学ぶ）
• メール配信システム
• 引越しの方法（サーバー関連）

などなど、制作代行として独立し、収益を上げるお手伝いができるレベル、社内で「重宝され、大切にされる」レベルに到達できる「知識、技術」を投入します。

今までなら「こんな量があったら、学ばせることができない」と思っていましたが、「記憶の研究」を整理した結果、「学んでもらえる！」と確信しています。

ということで、もう少し、記憶について紹介していきます。

次回のメールもお楽しみに。

追伸：

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では、募集まで今しばらくお待ちください。