toieeLab ニュースレター
できないのは、記憶していないから
学べない本当の理由は記憶にある

こんにちは
toiee Lab 亀田です。

「不都合な真実」は、イノベーションの鍵です。

私たち、toiee Labにとっての「不都合な真実」は、学習者の到達率です。満足度ではなく「到達度」がポイントです。

私たちが用意したWordPress関連の知識、技術は「並の制作代行業者以上」のものです。8ヶ月の取り組みの中で、この知識や技術をマスターした人数は、全体の2割にも満たない数字でした。

もちろん「満足度」をアンケートしたら、ほとんどの人が「満足している!」と答えてくれます。それでも、事実をそのまま見れば「2割程度の人しか、高いレベルに到達していない」状態です。

この不都合な真実の「原因」を探るべく、多くの参加者にインタビューをしてきました。時間にして、40時間以上は費やしたと思います。

「耳デミーが、耳のみー」になっている

あるファシリテーター(toieeLabの教材を使ってワークショップを開催する人)が「ほとんどの人が耳デミー」ではなく、「耳のみー」になっていると訴えていました。耳デミーとは、「隙間時間で前提知識や、周辺知識を吸収するためのもの」です。

当初、私は「耳デミーも、ほとんど聴いていないんじゃないか?」と思っていました。

ところが、何人ものお客さんが「忙しくて、ワークショップには参加できなかったけど、耳デミーだけは続けています。もう7回も聴きました(6時間以上)」と感謝を伝えてくれました。

失礼にも、私はその方々に、

  • 「で、実際、使えるようになっていますか?」
  • 「例えば、・・・・について、説明できますか?」
  • 「・・・と・・・は、どう違うか覚えていますか?」

とテスト(尋問)をしたところ、ほとんどの人が答えられませんでした。

ちなみに、重箱のすみを突くような質問ではなく、重要な知識、コンセプト、仕組みについて質問をしました。これを覚えていないなら、マズイだろうというものです。

このような結果を目の当たりにする度に、「何か、根本的な見落としがある」と思い始めました。

実行力は「記憶」がなければ、身につかない

社会科学の研究によって、示された面白い結果があります。それは

「人が新しい何かを実行しなかったり、反対するのは「悪意」や「怠惰」が原因なのではなく、 単に混乱したり、理解できなくて、戸惑っているだけ ã€

というものです。

WordPressでサイトを作る、仕事をすることは「実行」です。実行をするには「技術や知識を理解」しておく必要があります。理解する = 長期記憶に入っていることが必要です。何かを形にするというのは、長期記憶の中にある知識、技術を駆使して行動することを意味します。

つまり、

  • 実行する、成果を出す ← 理解している(長期記憶)

必要があります。

では、理解する、すなわち長期記憶に技術や知識を格納するには、何が必要かというと「統合」というプロセスが必要です。統合とは、既存の知識、技術、経験などに「新しい記憶」を結びつけることです。統合するには、前段階として「短期記憶」が必要となり、短期記憶を作るには「インプット」が必要になります。

図式化すると、以下のようになります。

実行する、成果を出す

↑

自分の持つ知識、経験、技術を駆使する

↑

知識、経験、技術を理解している = 長期記憶

↑

統合プロセス ← 大抵、ここのやり方が間違っている

↑

短期記憶

↑

インプット(聞く、読む)

様々な人にインタビューした結果、確信しました。「ほとんどの人は、長期記憶に入っていないだけ」ということです。その原因は、「学び方」に問題があります。年齢や能力ではなく、「単に、やり方が悪い」ということです。

ちなみに、「耳デミーを7回聞く」は、1回聞くだけと大差ありません。6時間ぐらいの解説音声(ビデオ)だとしたら「36時間の無駄」をしていることになります。

そうならないように、説明はしてあるのですが、私の説明が悪かったと反省しています。

厳しい科学的検証を経た「記憶に有効な方法」とは?

人が何かを学習できない時、まず疑うべきは「記憶」です。私たちは記憶を制御できません。

  • よし、これは記憶しておこう!

と思うだけで記憶できて、

  • 嫌な目にあった。忘れよう!

と思うだけで、忘れることができたら良いですが、そうはいきません。脳の特定の仕組みに沿って行われるため、記憶を意識では制御できません。意識だけでは、どうにもなりません。

しかし、ありがたいことに、過去40年ぐらいの研究を検証し、「厳しい基準に合格した方法」だけをまとめてくれた研究があります。その研究の結論をまとめると6つの方法(の組み合わせ)が有効です。

1. 想起練習

2. 間隔練習

3. 交互練習

4. 多様練習

5. 省察(せいさつ)

6. 精緻化(せいちか)

となります。

この6つを理解し、オンラインコースで使うことができれば、大幅に学習を改善することができます。

toiee Labの学習理論に足りなかったもの

私たちは「記憶の仕組み」などについては、ブラックボックスにして「それよりも高次な部分」の体系化に取り組んできました。具体的には、人の学習を「フィードバック制御の延長」として、システム論のアプローチで捉え直すことです。

これらは一定の成果をあげ、「ファシリテーション」を再定義することができ、何をやれば良いか?を明確に示すことができるようになりました。

ところが、「いざラーニングをデザインする」という段階になると、私の個人的な直感に頼る必要がありました。ちなみに、私たちは「ワークショップデザイン」ではく「ラーニング・デザイン」を研究しています。

ワークショップの設計は、ある種のパターンで簡単に、パパッと作れてしまいます。しかし、ラーニングのデザインとなれば、とても大変です。特定の技術、知識を半年かけて「しっかりと学ぶ」には、ワークショップを作るための枠組みでは足りませんでした。

しかし、その問題も、今回の数々のヒヤリングによって光明が指しました。

つまり「記憶」という物理的な脳の働きに注目することで、

  • ワークショップの設計
  • カリキュラムの設計
  • オンラインコースの設計

これらに、大きな違いを作り出せる!と確信しています。

具体的には「メタ探求型学習」などの高次の営みに加えて、以下の6つを実現するワーク、課題、仕組みを織り込むことが、決定的に大切です。

1. 想起練習

2. 間隔練習

3. 交互練習

4. 多様練習

5. 省察(せいさつ)

6. 精緻化(せいちか)

余談ですが・・・

 ãªãŠã€ã“のことがはっきりしたおかげで、「ラーニング・デザイン」を人に教える気になれました。今までは「一種のセンス」や「経験」に頼る部分が少なからずあったのですが、その部分が体系化できたので「センスではなく、論理的な振り返り」と「経験」によって学べるようになりました。

ラーニングデザインについて、教えたくて、教えたくてたまりません・・・。

キャリアチェンジできるレベルの知識

今回のWordPressマスターコースは、ゼロから作り直します。また、上記の6つの記憶への働きかけを意識した設計になります。

上記の6つを実現するためにも、Thinkificという「オンラインコース型サービス」に移行することにしました。

既に設計はできているので、早く収録して、お披露目したくて「ワクワク」しています。

学習効果を上げる「なぜ?」説明

ところで、WordPressマスター講座のカリキュラムを細かくみた人で、気付いた方がいるかもしれませんが、

  • コラム
  • 途中で違う内容が挟まっている
  • クイズがある

など、一般的な進行とは違います。これは、先の6つの方法論(研究によって証明されている)によるものです。

そして、これら記憶の研究の中で、もう一つ明らかになっていることがあります。それは

> 「なぜ、このようなタイミングで、こんなことをするのか?」について、説明することは、記憶力を上げる助けになる

ということです。

つまり、「記憶の仕組み」を簡単に説明し、どうして、こんなワークをするのか、なぜ、このタイミングなのか?など、「学習理論」や「学び方を学ぶ」話をすることが、学習効果、記憶力を上げるのに役立つことがわかっています。

WordPressマスター講座を受講すると、学び方や記憶の仕方について詳しくなるため、他の教科や、独立後の独学のときも、大いに役立ちます。

とにかく「これぞ、今できる最高」と思える状態になりました。

本当に楽しみで仕方ありません(笑)

次回のメールでは、上記の6つについて、記憶について説明します。

お楽しみに!

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