言語と学習の関係を考える際に次の3段階を意識しておくことは大切です。
1)言語の学習
2)言語を通した学習
3)メタ言語学習
この3つの段階は、国際バカロレアの言語教育の指針にもなっています。
一般的に英語学習というと、単語の意味を覚え、文の意味を解釈し、コミュニケーションが図れることを目標としますが、こういった学習は、4技能を使っているとしても1の領域にとどまっているということになります。
バイリンガル教育で有名なジム・カミンズが提唱したBICS(Basic Interpersonal Communicative Skills) は1に、CALP (Cognitive Academic Language Proficiency) は2にそれぞれ対応しています。
イマージョン教育や最近よく耳にするCLIL(言語と内容の統合学習)なども、2にあたると考えられます。
3にあたるのは、言語の働きを意識するような学習で、言語技術(Language Arts)とか文学(Literature)、哲学(Philosophy)などがそういった学習に対応すると考えられます。文法などの学習でも、他言語と比較しながら言語そのものの特徴を考えるような領域はメタ言語学習となるでしょう。
英語4技能という言葉が飛び交い、日本人は「話す」「書く」というスキルが弱いなどという言説が聞かれますが、スキルの練習不足というよりもむしろ、言語スキルが表現内容や思考と切り離されて、パターンプラクティスになってしまっていることに問題があるのではないかと思われます。
|