※本メールは弊社製品ユーザー様、学会・展示会などでお名刺交換させて頂いた方、弊社主催セミナーにご参加された方へお送りしております。
セリスタ株式会社/Selista Inc.
Dr.Fine Beaute MAGAZINEをお読み頂きありがとうございます。ビタミンKといえば「血液凝固」や「骨形成」が主な働きとして知られています。ですが、ビタミンKはほかにも様々な疾病予防や健康維持に働くことが分かっています。今回はそんな健康に不可欠な栄養素「ビタミンK」についてお送りします。
ビタミンKは血液凝固や骨形成、動脈の石灰化防止などに働く脂溶性のビタミンです。ビタミンKは主に2種類に分けられます。1)2)【ビタミンK1】・植物から合成するフィロキノン(PK)・単一の化合物で主に緑黄色野菜や植物油に含まれています。ex)ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、トマト、海藻類【ビタミンK2】・腸内細菌などの微生物が産生し発酵食品や動物体内に多いメナキノン(MK)・不飽和側鎖の長さによって区別されており、自然界にはMK-1からMK-14まで存在しています。MK-4は鶏肉や卵黄に多く、MK-7.MK-8.MK-9のような側鎖の長いメナキノン類は納豆やチーズ、ヨーグルトなどの発酵食品に多く含まれています。
ビタミンK活性はMK-7など側鎖の長いビタミンKで高くなります。MK-7とビタミンK1の吸収性を比較した試験では、MK-7の血中半減期がより長く効果を持続することが確認されています。また、栄養レベルの摂取量でMK-4とMK-7を比較したところ、MK-7で顕著に上昇しました。1)
ビタミンKにはオステオカルシン(OC)の活性を高める作用があり、カルボキシル化の補酵素として働きます。OCの活性化で特に重要な働きをするのがビタミンK2(MK-7)です。OC活性ではMK-4が1500㎍/日必要なのに対し、MK-7は45~90㎍/日程度と少量で効果が見られることが分かりました。3)4)
納豆に多く含まれているMK-7は、骨形成に関わる骨芽細胞を活性化させ、骨吸収に関わる破骨細胞の働きを抑制させます。骨代謝の調整に働いてくれるため、骨粗鬆症の予防など骨形成に重要なビタミンです。3)女性の納豆摂取量と骨折発生率の地域差を分析した研究では、納豆摂取量が多い地域では骨折発生率が低く、納豆摂取量が少ない地域で骨折発生率が高いという関連が見られました。納豆を摂ることにより、MK-7濃度が高くなり骨折のリスクを軽減する効果が期待されます。5)
ビタミンKは骨形成以外にも、様々な疾患予防や健康維持に効果があることが分かっています。
【ビタミンKと動脈硬化】6)7)
動脈硬化の症状の1つとして、動脈壁にカルシウムが沈着する動脈石灰化があります。動脈石灰化はビタミンK依存性タンパク質のマトリックスGlaタンパク質(MGP)により抑制されます。ビタミンK不足やビタミンK阻害剤の摂取によりMGPが働けず、動脈の石灰化が起こります。
ビタミンKは血管石灰化の阻害剤であるMGPのカルボキシル化によって、心不全などの心血管疾患のリスク低下に関連していることが分かっています。dp-ucMGP(デスホス非カルボキシル化MGP)により測定された非カルボキシル化MGPはビタミンK状態のマーカーで、高濃度で低ビタミンK状態を示しています。高dp-ucMGP濃度では血管石灰化やCVDのリスクが上がり、心不全での死亡率が上がる報告もあります。
【ビタミンKと糖代謝】6)8)
OCには膵臓でのインスリン分泌や、脂肪細胞でのアディポネクチン分泌を促進する働きがあります。OCはビタミンKにより働きが活性化されるため、OCを介してビタミンKは糖代謝を制御していることが考えられます。
20~70歳のオランダ人男女を対象とした前向きコホート研究では、10.3年の間に918件の糖尿病症例が記録されました。糖尿病リスク因子と食事因子を調整した多変量モデルにおいて、PKとMKともに2型糖尿病のリスク低下と関連する傾向が見られました。
【ビタミンKと発がん抑制】6)9)
各種がん細胞に対してビタミンK2は分化抑制、アポトーシス誘導、オートファジー誘導に働きます。分化抑制により細胞周期を停止させ、がん細胞のクローン性増殖を抑制します。また、ビタミンK2によるアポトーシス誘導は肝がん、肺がん、胃がん、大腸がん、子宮頸がんなど様々ながん細胞で報告されています。
乳がんの発生率と死亡率と総ビタミンK、PK、MKがそれぞれどのように関連するか調べた研究では、MK摂取量と乳がんの発生率・死亡率で関連が見られたが、総ビタミンKとPKでは関連が見られませんでした。このことから、乳がんとビタミンK2には関連があることが分かりました。
【ビタミンKと抗フェロトーシス】10)11)
フェロトーシスとは鉄依存性の脂質酸化細胞死のことで、アポトーシスとは異なる細胞死の1つです。リン脂質(細胞膜成分)の過酸化によって引き起こされる細胞死ですが、脂質過酸化は酸化ストレスによっても起こり、アルツハイマー病などの神経変性疾患やがん細胞に対する抗がん薬の感受性などに関与することが知られています。フェロトーシス抑制に働くFSP1はビタミンKを効率よく還元し強力な抗酸化剤として脂質過酸化を抑制します。
ビタミンKは、酸化型ビタミンKから還元型ビタミンK、そしてビタミンKエポキシドへと変換される回路を回ることで血液凝固に必要なタンパク質(凝固因子)が作られて出血を止めます。 ワルファリンはこのサイクルを止めることで凝固因子が作られなくなり血を固まりにくくします。FSP1が存在することにより、ワルファリンが聴いている状態でもビタミンKはFSPの働きで還元型ビタミンKに変換することができるため、ワルファリン中毒になった場合でもビタミンKを投与することで凝固因子が作られます。
ビタミンKが様々な疾患と関連していて、健康維持に重要な働きをしていることが分かりました。積極的にビタミンKを摂取するようにしていきたいですね。特にMK-7を多く含む納豆は1日1パック食べる習慣をつけて継続して摂ることがおすすめです。
食事から摂ることが難しい方は、サプリメントで取り入れてみてはいかがでしょうか?ご自身に合った方法でビタミンKを取り入れてみてくださいね。
1)ビタミンK研究のパラダイムシフト (jsbba.or.jp)2)ビタミンK - オーソモレキュラー栄養医学研究所 (orthomolecular.jp)3)大豆サポニンとビタミンK2(メナキノン-7)の構造・吸収・機能4)骨粗鬆症の治療におけるucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)検査の実際5)ビタミンK2の循環レベルの大きな地理的差の主な決定要因としての日本の発酵大豆食品:股関節骨折リスクへの影響の可能性-ScienceDirect6)ビタミンKと疾患 基礎の理解と臨床への応用/医薬ジャーナル社7)高ビタミンK状態は、女性の左心室量の減少と前向きに関連している:ホールン研究|栄養ジャーナル|全文 (biomedcentral.com)8)Dietary phylloquinone and menaquinones intakes and risk of type 2 diabetes - PubMed (nih.gov)9)ビタミンK摂取量と乳がんの発生率と死亡:前向きコホート研究の結果-PubMedによる (nih.gov)10)A non-canonical vitamin K cycle is a potent ferroptosis suppressor | Nature11)tohokuuniv-press20220804_01web_vitamink.pdf
【ご注意】Dr. フィーネ・ボーテのサプリメントは医療機関専用となっております。直接一般の方への販売は一切致しておりません。【お問い合わせ】セリスタ株式会社Dr. フィーネ・ボーテ事業部TEL:03-3863-1003E-mail:info@selista.jp営業時間:平日9:00〜17:30 (土日祝:休み)
Dr.フィーネ・ボーテ事業部〒101-0032東京都千代田区岩本町1-5-8東京雄星ビル4F
4F Tokyo Yusei bldg, 1-5-8 Iwamoto-cho,Chiyoda-ku, TokyoJapan