RAFIQ Magazine ４月号

RAFIQ Magazine

４月号

３度目の緊急事態宣言が出され、新型コロナとの付き合いも１年を越えました。直接のコミュニケーションが難しい中、支援する難民の皆さんに食料や生活用品を送ると、丁寧なお礼のメールが届きます。その中で、子どもの成長なども知ることができ、それぞれが困難を抱えながらも、かけがえのない人生を積み重ねていることを実感します。

１．日本の難民認定数は微増も、審査請求は機能せず

２．「入管法改正」国連人権機関の専門家からも懸念表明

３．大阪入管前で入管法改正に反対の意思を表明

４．安田菜津紀さんと日本の難民問題を考える　６月20日

１．日本の難民認定数は微増も、審査請求は機能せず

3月31日に、出入国在留管理庁から2020年の難民認定者数等が発表されました。難民認定数は2019年の44名より３名増えましたが、日本の難民認定の仕組みは改善されておらず、難民保護は進んでいません。

詳細：出入国在留管理庁「令和2年における難民認定者数等について」

http://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00003.html

① 難民認定申請者　３,９３６人（前年10,375人）

・62％減となっていますが、コロナ禍で入国できない方が多いためです。

入国直後の「短期滞在」での申請者が75％減になっており、前年度は約7,000人がこの資格で申請しています。

・難民申請者のうち、複数回申請415名　そのうち2回目が308名、3回～7回が107名。入管法の改正案では、3回以上の人は送還対象者になります。

② 難民認定（5年のビザ）47名　人道配慮（1年ビザ）44名

・地方入管で認定した方が46名、審査請求（不服申し立て）を行い参与員が理由ありとした方が1名。

・認定者の認定事由政治的意見３１人、特定の社会的集団の構成員であること１４人、人種７人、宗教２人※一人で複数事由の場合があります。

③ 審査請求（不服申し立て）…参与員での判断について

・理由あり（認定）1名　・理由なし（不認定）5,271名

・口頭意見陳述（参与員3名によるインタビュー）　行った者513名、行わなかった者4,759名※行わなかった者のうち、口頭意見陳述を放棄した者2,721名

意見陳述は約90％が不実施です。RAFIQの支援者では一人も実施されませんでした。誘導されて放棄のサインをさせられている方もいました。

この発表と同日に、難民支援協会（JAR）が声明を出しています。

認定NPO法人難民支援協会「2020年の難民認定者数等の発表をうけて」https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2021/03/recog20/

また、３月30日に発表されたアメリカの人権白書でも、日本の難民問題が指摘されています。

米国国務省「国別人権報告書2020年：日本」（英語）

Japan - United States Department of State

２．「入管法改正」国連人権機関の専門家からも懸念表明

日本の「入管法改正」問題は、国連人権機関の専門家からも懸念が表明されています。

3月31日、国連の4つの人権機関から共同で懸念が表明されました。「移住者の人権に関する特別報告者」、「恣意的拘禁作業部会副委員長」、「宗教又は信条の自由に関する特別報告者」並びに「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する特別報告者」の連名での文書でした。

指摘された内容は、「移住（出入国管理）における義務的な収容と新た『監理措置』」「司法審査の欠如」「移住（出入国管理）における収容期間の上限の欠如」「ノン・ルフールマンに関する懸念」「子どもに配慮したセーフガードの欠如」です。

4月9日には、UNHCR（国連高等難民弁務官事務所）が「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に関する UNHCR の見解」を発表しました。この内容は、42ページに及び「非常に重大な懸念」と述べられています。

国際人権法の専門家らの懸念を無視して、この法案による改正を強行するなら、日本は更に人権後進国となっていくことでしょう。

藤田早苗氏(英国エセックス大学人権センターフェロー)が「国連特別報告者の勧告の意義」と題した動画を公表していますので、ぜひご覧ください。

全国難民弁護団連絡会議お知らせ（2021年4月6日）

「国連人権理事会の複数の特別手続の専門家らが、政府提出の入管法改正案に対する共同書簡を発表しました」

http://www.jlnr.jp/jlnr/?p=2786

「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に関する UNHCR の見解」（2021年4月9日）

https://www.unhcr.org/jp/wp-content/uploads/sites/34/2021/04/20210409-UNHCR-Comments-on-ICRRA-Bill-Japanese.pdf

「2021 年 4 月 9 日付け国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）の見解の概要」

https://www.unhcr.org/jp/wp-content/uploads/sites/34/2021/04/Executive-Summary-20210409-UNHCR-Comments-on-ICRRA-Bill-Japanese.pdf

藤田早苗(英国エセックス大学人権センターフェロー)YouTube

「国連特別報告者の勧告の意義」（2021年4月20日公開）

https://youtu.be/JefUj2FG2p4

３．大阪入管前で入管法改正に反対の意思を表明

4月13日、RAFIQの呼びかけにより有志の12名が大阪出入国在留管理局前で、声を出さずにプラカードを掲げて意思表明するサイレントアクション「入管法改正反対・難民の送還ではなく保護を！」を行いました。プラカードの制作には難民の方も参加されました。

現在、国会で審議中の「出入国管理及び難民認定法」の改正案では、迫害の恐れがあり帰国できない人や日本に家族がいる人などでも、難民申請が３回目以降は出身国への送還が可能となり、送還を拒んだ場合の罰則も設けられることとなっています。一方、海外からも問題視されている入管の収容期間に上限がないことや、外国人が司法の審査を経ずに収容されていることについては、改正されることがありません。全国の弁護士や難民支援の団体からは次々と反対の声が上がり、10万筆を越える改正反対の署名も国に届けられています。入管で死亡する人も相次いでいます。外国人の基本的人権を守れない国が、他国の人権問題に意見をしても説得力はありません。

大阪のサイレントアクションに参加した人の感想をご紹介します。「一人ではとても行動を起こす勇気はないが、RAFIQ主催で他の会員と一緒に立つとのことなので、自作のプラカードを持参して参加した。通行人は少なかったが、毎日新聞のカメラマンが来ていて、翌日の朝刊で記事になった。小さな行動でも、入管法改正案に反対していることをアピールできた。私たち国民が社会と国に対して、自分の意見を可視化することは非常に大切なことだと思う。」（RAFIQ会員Sさん）