RAFIQ Magazine
6月号

RAFIQ Magazine臨時号でもお知らせした「世界難民の日in KANSAI」のWEBサイトは、関西に暮らす難民の皆さんや、それぞれの得意分野で難民支援のボランティアをする人たちの生の声を動画で配信し、新聞2紙とUNHCRのサイトでも紹介されて多くの人に見ていただくことができました。

このサイトは引き続き閲覧可能ですので、まだ見ていない動画はぜひご覧ください。

世界難民の日in KANSAI 2020 http://world-refugee-day.rafiq.jp/

目次

1.2019年の世界の難民数発表 7,950万人が強制移動に

2.「収容・送還に関する専門部会」の提言に対する共同声明

3.「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」への意見書に賛同

4.「世界難民の日 IN KANSAI」 WEBサイトを制作して

5.緊急資金援助を得てコロナ禍の難民を支援

1.2019年の世界の難民数発表 7,950万人が強制移動に

UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)は、6月20日の「世界難民の日」にあたり、6月18日に前年の世界の難民数を発表しました。

2019年は7,950万人が強制移動を余儀なくされています。97人に一人が庇護の必要な方になります。

国連のプレスリリースでは、増加した要因を以下のように分析しています。

「2018年末時点の7,080万人から1年間の増加は、2つの主な要因の結果と言えます。

まず一つは、2019年の懸念であった新たな強制移動です。特にコンゴ民主共和国、サヘル地域、イエメン、シリアが挙げられ、中でも紛争から10年目に入ったシリアからは、これまで1,320万人の難民、庇護申請者、国内避難民が発生しており、世界全体の強制移動の実に6分の1を占めています。

二つ目は、国外に避難しているベネズエラ人の状況が明確に表われています。その多くは難民や庇護申請者として法的に登録されていませんが、保護関連の手続きを必要としています。本日発表した統計は、計り知れない悲痛、絶望、犠牲、愛する人と引き裂かれなければならないという現実がその背景にあるということをまさに物語っています。」

現在、新型コロナの影響で移動ができなくなっていますが、課題はそのままです。難民へのコロナの感染防止策も含めて、最も脆弱な人々に手を差し伸べていく必要性が増しています。

参考:

UNHCRプレスリリース

「グローバル・トレンズ 2019:全人類の1%が強制移動に直面」

https://www.unhcr.org/jp/26829-pr-200618.html

UNHCR「数字で見る難民情勢(2019年)」

https://www.unhcr.org/jp/global_trends_2019

2.「収容・送還に関する専門部会」の提言に対する共同声明

6月19日、法務大臣の私的諮問機関である出入国管理政策懇談会「収容・送還に関する専門部会」が公表した「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」は、外国人に対する排除・締め付けの方向が強調され、日本の難民政策の一層の悪化が懸念されることから、同22日に全国難民弁護団連絡会議などの6団体が共同声明を発表しました。以下にその概要をご紹介します。

⑴退去強制拒否罪の創設について:強制送還に応じない外国人に刑事罰を加えることを検討するとしている。しかし刑事罰を創設することが問題を解決するのではなく、強制送還を拒絶する原因を解明することが優先されるべきであること、さらには難民支援者が共犯になりうることなどから、罰則創設は何らの改善ももたらさない。

⑵難民申請者の送還停止効の例外創設について:現状、難民申請者ついては強制送還の停止(ノン・フルールマン原則)が認められているが、提言では複数回の難民認定申請者には例外的に速やかな送還を可能とする方策を検討するとある。しかし国連難民高等弁務官も指摘するように難民認定率が1%に満たない異常な状態が続いていることが問題であり、これを放置して送還停止効の例外規定を設けることは問題を大きくするだけである。

⑶収容制度の見直しについて:難民認定申請者などが長期間、入管に収容されていることが大きな問題になっていることから、収容に上限を設けるべしとの意見があったが、提言では不採用とした。これは国連からの度重なる是正勧告をも無視するものであること、収容開始や継続に関して司法審査が事実上なされていないことから、収容期間に上限を定めない正当な理由はない。

収容・送還に関する専門部会提言に対する共同声明

http://www.jlnr.jp/jlnr/wp-content/uploads/2020/06/0622_%E5%8F%8E%E5%AE%B9%E3%83%BB%E9%80%81%E9%82%84%E5%B0%82%E9%96%80%E9%83%A8%E4%BC%9A%E6%8F%90%E8%A8%80%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%A3%B0%E6%98%8E_j.pdf

法務大臣私的諮問機関 収容・送還に関する専門部会

「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」

http://www.moj.go.jp/content/001322460.pdf

概要図

http://www.moj.go.jp/content/001322403.pdf

参考:全国難民弁護団連絡会議お知らせ

http://www.jlnr.jp/jlnr/%e5%a3%b0%e6%98%8e%e3%83%bb%e6%8f%90%e8%a8%80%e7%ad%89%ef%bc%882020%e5%b9%b45%e6%9c%8815%e6%97%a5%ef%bc%89%e5%85%a8%e9%9b%a3%e9%80%a3%e3%82%92%e5%90%ab%e3%82%806%e5%9b%a3%e4%bd%93%e3%82%88%e3%82%8a/

3.「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」への意見書に賛同

6月28日、”収容・送還に関する専門部会報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」への市民団体意見書”にRAFIQも賛同しました。
難民支援の団体FRJ(なんみんフォーラム)でも「専門部会報告書」の検討を重ね、難民を支援する立場からの意見書を公表しました。意見書提出の理由は、以下の内容です。
「収容の長期化を防止するための策や、在留特別許可の活用といった外国人の人権保障に資する提言がある一方、難民認定申請者の『送還停止効に一定の例外を設ける』(p.34)という、難民条約などが定めるノン・ルフールマン原則に反するおそれがある提言が行われたことを強く憂慮します。

難民認定制度に関しては、『難民認定制度に関する専門部会』が2014年に公表した『難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)』における提言がまず優先して実施されるべきです。難民として保護すべき人を十分に保護できていない現状である限り、送還停止効に例外を設けることは決して認められません。」

「収容・送還に関する専門部会」報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」に対する意見
http://frj.or.jp/news/wp-content/uploads/sites/2/2020/06/Opinion20200628.pdf
参考:

2014年 難民認定制度に関する専門部会

難民認定制度の見直しの方向性 に関する検討結果(報告)

http://www.moj.go.jp/content/001130133.pdf

FRJ(なんみんフォーラム)お知らせ

http://frj.or.jp/news/organization/frj/3950/

4.「世界難民の日 IN KANSAI」 WEBサイトを制作して

6月20日は国連が定めた「世界難民の日」です。毎年、この日が近づくと集会を開いて、有識者の講演や様々な活動をしている方々の発表の場としていました。今年も1月から実行委員会を結成して集会の準備を進めていましたが、コロナ危機の影響で集会を開催できなくなり、協議の結果、「毎年集会でやっていることをWEBキャンペーンとして発信する。」という方針が決まりました。幸い、今回のテーマ「世界と繋がる“今”の日本であなたと私にできること」と講演講師が決まっていたことも後押しになりました。

WEBサイトはどうすれば閲覧者に分かり易く伝わるか?どうすれば興味を持ってコンテンツを見てもらえるか?を意識して制作しました。デザイナーの友人にイラストを描いてもらったり周りの人々に助けられて何とか形にすることができました。

そして、WEBキャンペーンが始まると、講師の方々から素晴らしい講演の動画を受け取ることができたのと、実行委員会メンバーで制作した魅力的なコンテンツがドシドシとページに投稿されました。その度に情報を整理して投稿を見やすく配置したり「お知らせ」を書いたりと作業は大変でしたが、自分が制作したWEBサイトに命が吹き込まれるようでとても嬉しかったです。

制作にあたって、1か月間で使い捨てられるようなサイトではなく、今後何年にもわたってたくさんの人に見てもらえるサイトにする!と心に決めていたのですが、想像以上の出来映えになったと実感しています。魅力的なコンテンツばかりですのでぜひご覧ください。

私のお薦めは「日本で暮らす難民の声」です。難民の方々の生の声を聞ける機会は滅多にないので耳を傾けていただければ幸いです。(RAFIQ会員 Uさん)

世界難民の日in KANSAI 2020

http://world-refugee-day.rafiq.jp/

5.緊急資金援助を得てコロナ禍の難民を支援

日本で暮らす難民の多くは仕事に就けず経済的にも苦しい状況にあるなか、新型コロナウイルスの感染予防をする余裕などなく、感染リスクにさらされています。そこでRAFIQでは、マスク等の寄付を募り支援する難民に提供して感染を予防してきました。

しかし、緊急事態宣言の解除後もなお、東京では感染者が増え続け、全国でコロナの第2波が懸念されています。当面は、マスク着用、消毒などの対策を継続していく必要がありそうです。

そんななか、様々な財団・基金等がコロナ禍で困窮する人を緊急支援するための資金を提供する動きがあります。RAFIQはそのような機会を逃さず支援難民が対象となるよう申請し、資金援助が得られた場合には、難民のニーズに合わせて、今、必要なものの購入に充てています。6~8月には援助資金で体温計や消毒液、そして米やパスタなども購入して難民の皆さんの感染予防はもちろん体調管理と生活支援に活用することにしています。支援する各世帯に第一便を送ったところ、続々と感謝の声が寄せられています。

難民が日本で自立して暮らしていけるまでには数々の困難が待ち受けています。さらにコロナのような予期せぬ事態に見舞われることもありますが、近い将来、自立して暮らしていけるように、寄り添っていきたいと思います。

援助資金で購入した米や消毒液等と寄付の品々を併せて送りました。

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RAFIQ Magazine 2020年 6月号  2020年6月30日発行

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 発行:在日難民との共生ネットワーク RAFIQ

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440

      rafiqtomodati@yahoo.co.jp


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