5月13日、法務省の出入国在留管理庁(入管庁)は「令和3年における難民認定者数等について」を発表しました。2021年は多くの国でクーデター等の問題が起きましたが、そのことは十分配慮されず、認定は増えたものの申請者数と比べるとわずかであり、欧米には遠く及びません。
人道的に迅速に認定できる「難民保護制度」の必要性が高まっています。
前年の難民認定者数は、例年3月末に発表されていたのに約1か月半遅れた理由も気になります。主な内容を、難民を支援する立場からの見解とともにご紹介します。
①難民認定者数の74人は過去最多(これまでは昨年の47人が最多)であったものの、ミャンマーの32人を除くと42人で、「難民鎖国」ともいえる状態は続いています。昨年、クーデターのあった国の認定は、ミャンマー以外では、アフガニスタンの9人のみでした。
②難民認定申請者は2,413人で昨年の3,936人より大幅に減りました。これはコロナによる入国制限によるものです。この内543人は非正規在留者で、その多くが仮放免になっていたと思われます。約半数の1,248人が複数回申請で、3回目以上になると、昨年に廃案となり今秋の国会で再提出が見込まれる政府・与党の「入管法改正案」では、送還対象者となっていました。
③難民申請時の入管庁の振り分けで「Aケース」(難民の可能性が高い)は39人しかいませんでした。ミャンマーだけでも申請者は612人で、入管庁の判断基準の詳細は公表されていません。
④不認定に対する審査請求で認定されたのは9人のみでした。2021年には4,046人が審査請求しており、難民審査参与員制度が機能していないのではないでしょうか。口頭意見陳述が認められず書類のみで「迅速に」不認定が決定されるので、再申請を行う難民が増えています。
参考>
出入国在留管理庁「令和3年における難民認定者数等について」
https://www.moj.go.jp/isa/publ...
全国難民弁護団連絡会議 入管庁発表「令和3年における難民認定者数等について」を受けての声明
http://www.jlnr.jp/jlnr/?p=734...
難民支援協会「2021年の難民認定者数等の発表をうけて」
https://www.refugee.or.jp/repo...
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