RAFIQ Magazine
12月号

今、シリア難民への越冬支援キャンペーン「THINK ABOUT A REFUGEE」が注目を集めています。難民キャンプを訪れた美術家の奈良美智氏が国連UNHCR協会に協力し、つぶらな瞳で見つめる女の子を描いたキャンペーンカードには心打たれます。「難民のことを思うとき 数ではなく 1人の『ひと』を思えたら どんなに素敵でしょう」というこのキャンペーンの精神は、日本に逃れてきた難民を支援しているRAFIQにも通じるものがあります。これからも私たちと同じ1人の「ひと」として、難民のことを考え、支えていきたいと思います。

目次
  1. 1年を振り返って
  2. 「WorldなんみんDAY」ご報告 
  3. シンポジウム「カナダとの比較で考える~難民の認定と受入れ~」に参加して
  4.  難民関連の最新情報 
  5. 今後のイベント 
  6. おすすめの映画
1.1年を振り返って

今年も関西の難民支援へのご協力ありがとうございました。

 2019年もあとわずかになりました。おかげさまで2019年もみなさまからのご支援で難民支援が継続できました。ご支援に感謝いたします。

 2019年の最後にうれしいお知らせが2件あります。支援してきたアジア難民が1名難民認定されました。RAFIQが支援した人で、昨年、認定された人はいませんでしたので2年ぶりとなります。この方は大阪入管に1年収容され約2年で認定されました。

また、大村入国管理センターに2年半収容されていたアフリカ難民が仮放免されました。

 2019年は1月に大阪弁護士会の「人権賞」を受賞し、改めて身を引き締めて難民支援に取り組みました。家族での支援対象者が増え経験したことのない生活支援にもぶつかりましたが、会員や関係する機関などの協力でなんとか良い方向で解決できました。

年間1~2名だった仮放免が5名もありました。うれしい反面、在留カードがなく就労不可の彼らの生活支援が大変になっています。

 今年は、多くの会員やボランティアの方たちが活動に直接参加してくださいました。引き続き難民に寄り添って関西での支援を行っていきますので、ご支援をよろしくお願いいたします。分断ではなく世界の市民が協力しあう社会を願って!

RAFIQへのご支援はここから

洗剤などの生活用品の支援を募集しています。

http://rafiq.jp/support.html

2.「WorldなんみんDAY」ご報告

12月15日に開催された「WorldなんみんDAY」が無事終了しました!

ますます支援の必要性とみなさまの暖かみを感じる機会となりました。

お昼にはパキスタンのカレーランチ(RAFIQが支援する難民の方が前日から準備してくれました。)を、カフェタイムにはシリアのデザートやイランのサンドイッチ、チャイを、生演奏の音楽を聞きながら頂ける贅沢な時間となりました!

映画はアカデミー賞ノミネート作品の『アレッポ 最後の男たち』が上映されました。

実際のシリア爆撃地アレッポのドキュメンタリーで、改めて被害の大きさを認識しました。

衝撃的な映像も全て現実で、現地を知る方をはじめ何人も涙されておりました。

また、青年海外協力隊のシリアでの実体験や、大阪・東京での難民支援の話を、皆さん真剣に聞いておられました。そして、さらなる支援が必要な事を実感した方も多かったのではないでしょうか。

ご来場いただいたみなさま、いつも関わって下さる方、会場となったSalon de AManTo 天人さん、ボランティアのみなさん、本当に1日ありがとうございました。

3.シンポジウム「カナダとの比較で考える~難民の認定と受入れ~」に参加して

 2019年12月12日、東京弁護士会主催で首記のシンポジウムが開催されました。カナダより難民認定機関である移民難民委員会(IRB)の前議長、ピーター・ファウラー氏がカナダの難民認定の現状に関して基調講演をした後、カナダの難民研究センター、ヒラリー・キャメロン氏、阿部浩己氏(明治大学教授)、駒井知会氏(東京弁護士会)、鈴木雅子氏(同左)、安藤由香里氏(大阪大学准教授)とのパネルディスカッションが行われました。

 カナダと日本の相違は、難民認定率が62.8%と0.19%という圧倒的な差異からわかるように難民受け入れについての基本的な考え方が以下のように異なっています。

出身国情報(COI)の扱い:カナダは専門家が収集して難民申請者側にもオープンにされるのに対し、日本は入管がどのようなCOIを収集して判断したのか明らかにされない。

信ぴょう性の判断:カナダは証拠があまりなくても認定されうるのに対し、日本は厳格な証拠を要求されるばかりでなく判断基準がない。

十分に理由のある恐怖のリスク評価:カナダは日本のような個別把握をする証拠がなくともリスクありと評価されうる。

審理の進め方:カナダは審理がすべて録音され申請者側に提供されるのに対し、日本はインタビューに代理人が参加できないなど可視化が全く不十分となっている。

弁護士への公的補助:カナダは一定の補助があるのに対し、日本は全くなく弁護士が頑張るしかない。

 このように両国の相違は大きすぎ、日本がカナダから学ぶべきことは無数にあると言えますが、日本がカナダに近づくのは容易なことではありません。かつては、カナダも難民受け入れに積極的ではありませんでしたが、それがいかに変化して今日に至ったかをよく検討する必要があるのではないかとのコメントがありました。

4.難民関連の最新情報

①国際

2018年12月に国連で採択された「難民に関するグローバルコンパクト」を受けて

1年後の今年の12月に国連で進展状況の協議が行われました。日本政府からも参加しています。社会の一人ひとりが責任をもって難民問題に取り組もうとしています。

*難民に関するグローバルコンパクトとは

https://www.unhcr.org/jp/global-compact-on-refugees

*国連欧州本部 閣僚級が難民の支援策協議 各国が支援強化表明

NHK 2019年12月19日

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191219/k10012220451000.html

②国内

*「長期収容・『送還忌避者』問題解決のための共同提言」

全国難民弁護団連絡会議など 2019年12月18日

http://www.jlnr.jp/statements/2019/jlnr_joint-proposal_20191218_j.pdf

*ローマ教皇へのクルド難民弁護団の感謝の言葉  2019年11月25日

http://www.jlnr.jp/statements/ATT00395.pdf

5.今後のイベント

〇国際協力のお祭り「ワン・ワールド・フェスティバル」にRAFIQとUNHCRが共同出展

https://onefes.net/about/

「体験!難民キャンプ」 2月1日(土)・2(日) 扇町公園

難民キャンプで実際に使用しているテントに入ることができます。

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〇トーク&トーク「入管に収容されている難民を支援して」 主催RAFIQ

2月9日(日)14:00~ 大阪聖パウロ教会(大阪市北区茶屋町2-30)

参加費 一般1,000円  学生500円

パネラー 周香織(クルド人難民Mさんを支援する会事務局)

     田中惠子(RAFIQ共同代表)

     弘川欣絵(弁護士・大阪難民弁護団)

これに先立ち、1月13日~2月8日には、立命館大学国際平和ミュージアムでパネル・写真展「わたしをここからだして」が開催されます。トルコから日本に逃れてきたクルド難民のケースを中心に入管の収容所で何が起きているのかを伝えます。

  

6. おすすめの映画

「ブレッドウィナー」 https://child-film.com/breadwinner/

アフガニスタンを舞台にしたアニメ映画です。女性一人での外出が禁じられる中、家族を救うため髪を切り、“少年”になって働きに出る女の子の物語。アンジェリーナ・ジョリーが制作に協力し、アカデミー賞にもノミネートされた作品です。

アフガニスタン難民は国連の2018年の統計では250万人です。シリアに次いで多い難民出身国になっています。RAFIQでは、関西のアフガニスタン難民を支援しています。彼らの出身国理解のためにぜひ見てください。

東京・YEBISU GARDEN CINEMA 上映中

大阪・テアトル梅田 1月24日(金)~

京都・出町座 近日公開

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RAFIQ

RAFIQ Magazine 2019年 12月号  2019年12月25日発行

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 発行:在日難民との共生ネットワーク RAFIQ

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440

      rafiqtomodati@yahoo.co.jp


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