2019年12月12日、東京弁護士会主催で首記のシンポジウムが開催されました。カナダより難民認定機関である移民難民委員会(IRB)の前議長、ピーター・ファウラー氏がカナダの難民認定の現状に関して基調講演をした後、カナダの難民研究センター、ヒラリー・キャメロン氏、阿部浩己氏(明治大学教授)、駒井知会氏(東京弁護士会)、鈴木雅子氏(同左)、安藤由香里氏(大阪大学准教授)とのパネルディスカッションが行われました。 カナダと日本の相違は、難民認定率が62.8%と0.19%という圧倒的な差異からわかるように難民受け入れについての基本的な考え方が以下のように異なっています。 出身国情報(COI)の扱い:カナダは専門家が収集して難民申請者側にもオープンにされるのに対し、日本は入管がどのようなCOIを収集して判断したのか明らかにされない。 信ぴょう性の判断:カナダは証拠があまりなくても認定されうるのに対し、日本は厳格な証拠を要求されるばかりでなく判断基準がない。 十分に理由のある恐怖のリスク評価:カナダは日本のような個別把握をする証拠がなくともリスクありと評価されうる。 審理の進め方:カナダは審理がすべて録音され申請者側に提供されるのに対し、日本はインタビューに代理人が参加できないなど可視化が全く不十分となっている。 弁護士への公的補助:カナダは一定の補助があるのに対し、日本は全くなく弁護士が頑張るしかない。 このように両国の相違は大きすぎ、日本がカナダから学ぶべきことは無数にあると言えますが、日本がカナダに近づくのは容易なことではありません。かつては、カナダも難民受け入れに積極的ではありませんでしたが、それがいかに変化して今日に至ったかをよく検討する必要があるのではないかとのコメントがありました。 |