RAFIQ Magazine
3月号

世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっています。そんな中、よく聞かれるようになったのが「自粛要請」。どこまで自粛すべきか、判断が難しく、政府や自治体にはわかりやすい基準を示してほしいものです。

RAFIQでは、3月14日に受講者6名で難民初級講座を行いました。入室前の手洗い、マスクの着用、向かい合わない座席配置、換気の徹底など、できる限りの対策をしました。今後の活動についても、状況を見ながら最善の方法を模索していきます。一日も早い収束を願いながら。

RAFIQの新型コロナウイルス対策

http://rafiq-jp.sakura.ne.jp/WordPress/info/2020/03/01/news-coronavirus/

目次

1.大阪入管に新型コロナウイルス対策を要望

2.難民の子どもを支援して

3.アフリカ難民Aさんの農作業体験

4.日本政府がチャーター機でスリランカ人44名を強制送還

1.大阪入管に新型コロナウイルス対策を要望

3月10日、RAFIQは、大阪出入国在留管理局に被収容者に対する新型コロナウイルス対策についての要望書を提出しました。

その内容は、被収容者に多言語で最新情報を提供すること、健康管理に注意し、感染が疑われる症状のある被収容者は診断結果が出るまで隔離すること等の7項目です。

要望書はこちらのページで確認できます。

http://rafiq.jp/motion.html#main_motion_02

入管の収容場は定員6名の相部屋で、自由時間以外は施錠されており、集団感染が起きやすい環境にあります。RAFIQが行っている毎月の面会では睡眠不足を訴える人、食事が口に合わず十分に食べることができていない人もいて、ただでさえ体調を崩しやすい状況にあるため、とても心配です。入管では週2回の診察機会も自由に受診できるわけではありません。事前に受診希望を出しても認められないことがあるため、感染者の見落としがないことを祈るばかりです。

入管では、3月17日から感染拡大防止のため、外国人の在留資格に関する諸申請の期間を延長して、窓口の混雑緩和を図っています。また、平常時から被収容者との面会時には手のアルコール消毒を行っています。収容場の中でも十分な感染予防がなされるよう引き続き注視していきたいと思います。

2.難民の子どもを支援して

2019年5月から毎週、シリア人の小学5年生の女の子の家に通っています。女の子は2018年末に来日し、4月から地元の小学校に通い始めたばかりでした。「平仮名は読めるから、教科書の漢字にかなを振ってあげて」とRAFIQから言われ、この活動を始めました。初めて会った時、彼女は一言も日本語を話せませんでした。大きな眼と長いまつ毛、はにかんだような笑顔が印象的でした。グーグルの翻訳アプリを使って会話していましたが、10月ごろからはアプリが不要になりました。最近では関西弁を自在に操り、小3の漢字を学習中。保護者と私が話す際の通訳もしてくれます。彼女の一家は、昨年末に難民認定されました。

しかし、問題はたくさんあります。保護者は日本語ができないので、学校からの配布物を全く読めないし、夏休みやコロナの影響で長期間学校が休みになれば、女の子の日本語の上達は止まります。イスラム教徒なので、給食の豚肉は食べられず、体育や水泳の授業では肌の露出を少なくする工夫が必要です。そして何より、5年生の授業を理解するのはとても難しく、女の子自身、「友だちは私のことを小3ぐらいに見ている」と言っていて、プライドが傷ついています。これから進学や就職で、さまざまな壁にぶつかることと思います。保護者もまだ、仕事を見つけられていません。子どもの学ぶ力と学校教育の大切さを実感するとともに、難民の子どもが置かれる環境の厳しさに、ため息が出ることもあります。(RAFIQ会員Wさん) 

3.アフリカ難民Aさんの農作業体験

コロナウイルスのためにモスクや日本語学校が閉鎖になりなんみんハウスで暮らすAさんが引き籠らざるを得なくなったころ、RAFIQ会員のIさんから「Aさんに農作業を体験させてあげたい」との連絡があり、私が以前から参加している団体の農作業に行くことにしました。

当日は小雪が舞う寒い日でした。午前中、棚田の周辺を散策しましたが、Aさんは歩くのが早く時々走りだすこともありました。

ビニールハウスの中で団体の皆さんと一緒に昼食をとり、Aさんに簡単に自己紹介をしていただき和やかな雰囲気のなかで過ごせました。

午後は皆さんとともに春野菜の種まきをしました。畑の中はぬかるんでいたので、長靴を持ち合わせていなかったAさんが突然裸足になり、ズボンの裾をまくり、クワを持って畑の中にズブズブと入っていたのにはびっくりしました。続いてIさんも裸足になり畑の中へ。クワを持って黙々と作業するAさんの姿は手際も良く様になっており、その活き活きした姿はこれまで見たことがないものでした。皆さん「また来てください」と言ってくれていますので、Aさんが好きな時に一人でも参加できることを目標にお手伝いしたいと思います。(RAFIQ会員Yさん)

4.日本政府がチャーター機でスリランカ人44名を強制送還

3月10日、チャーター機によるスリランカ人の強制送還が行われました。このことを知ったのは、同日が大阪入管に収容されている難民へのRAFIQの面会日だったためです。入管でRAFIQ会員でもある弁護士に会い、受任しているスリランカ人が送還されたようだと聞きました。

3月23日の東京新聞「こちら特捜部」で詳細の報道がありました。

3月11日に法務省法曹記者クラブで会見がありましたので、詳細がわかりました。

スリランカに送還されたのは20~60歳代の44名(うち女性3名)、約4,000万円の経費がかかったということです。半数が過去に難民申請又は却下された方であり、前日や前々日に難民の審査請求を棄却された方もいました。全員が入管に収容されている方で、日本での滞在期間は6か月から20年以上の方もいます。当然家族が日本にいる方もいます。

日本政府は2013年から「安全かつ確実な送還を目的として,民間航空機をチャーターしての集団送還を実施」(法務省)しています。「退去強制令書」が出た人を対象にしていますが、その中には、難民申請の手続きが切れた合間に送還された難民も含まれています。

税金を4,000万円かけてこのような人権侵害が行われていることを市民は知っておくべきことと思います。

「仮放免者の会」のブログにこの内容が掲載していますのでご参照ください。

http://praj-praj.blogspot.com/2020/03/44.html

2015年にはRAFIQの支援難民がチャーター機で送還されましたので法務省に抗議声明を提出しています。

http://rafiq.jp/pdf/motion/150113_statement.pdf

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RAFIQ Magazine 2020年 3月号  2020年3月25日発行

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 発行:在日難民との共生ネットワーク RAFIQ

 ホームページ: http://rafiq.jp

 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440

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