RAFIQ Magazine
2月号

ある自治体の防災講座に参加し、日本に暮らす外国人にとっては「地震」「避難」「警報」といった言葉を覚えることが災害から身を守る第一歩と学びました。そして、今は新型コロナウィルスの感染者が増えています。情報が行き届きにくい難民の方にも、災害やウィルスから身を守るための情報をしっかりと伝え、支えていきたいと思います。

目次

1.  問題が多い内閣府の難民等に関する世論調査

2. 大阪地裁「アフリカ難民Aさん 難民不認定取り消し裁判」を傍聴して

3. ワン・ワールド・フェスティバル「体験!難民キャンプ」に参加して 

4.「トーク&トーク 入管に収容されている難民を支援して」開催報告 

5.映画から難民・移民問題を知ろう(関西の上映情報)

1. 問題が多い内閣府の難民等に関する世論調査

1月17日に内閣府が初めて難民について行った調査の報告が発表されました。この調査は目的を「基本的法制度に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考にする。」として面談で実施され有効人数は1,572人でした。調査項目は(1) 基本的法制度に対する関心(2) 死刑制度に対する意識(3) 難民認定制度の在り方(4) 永住者の在り方です。

調査対象者に「難民」の定義や日本が難民条約に加盟していることなどの現状の説明なしに、意図的に難民や外国人の嫌悪感をあおるような質問項目が並んでいます。

このアンケート内容を基に「国民の意識」として難民や外国人の排除の理由にされるのではないかととても心配です。

全国難民弁護団連絡会議(全難連)と、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)が声明を出していますので紹介します。内容に全面的に賛成いたします。

内閣府「基本的法制度に関する世論調査」に対する抗議声明

-移民・難民の権利の確立を!- 2020年2月4日

www.jlnr.jp/statements/2020/jlnr_joint-statement_20200204_j.pdf 

内閣府世論調査報告「基本的制度に関する世論調査」 2020年1月17日

https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-houseido/index.html

2.大阪地裁「アフリカ難民Aさん 難民不認定取り消し裁判」を傍聴して

RAFIQが法的支援・仮放免支援をし、現在事務所のシェルターに入居中のアフリカ難民Aさんの第2回難民不認定取り消し裁判が、2月19日、大阪地方裁判所で行われました。Aさんは大阪入管と長期収容の大村入管(長崎大村市)に2年3か月収容されていたため、本人が出廷できた裁判は今回が初めてです。裁判は平日に行われますが、RAFIQ会員をはじめ約20名の支援者が傍聴席の半分を埋めました。

「本来なら、入管が出身国情報などきちんと調査すべきじゃないですか。それをしないから、ボランティアたちが手分けして、それをやらないといけない」。次までにどれだけ資料を用意できるか、という裁判長からの要求に、弘川欣絵弁護士が日本の難民認定制度において本人立証が課されている問題について強く発言した際には、傍聴席から向けられた私たちの視線を裁判官が感じているのがよくわかりました。このように傍聴に足を運ぶことで、司法に公正な判断を望む市民の意志を示すことができます。ただただ命を助けて欲しいと日本に逃れてきたのに拒絶され、原告となり、これから日本政府を相手に長い裁判を闘わねばならないAさんにとっても、傍聴席からの応援は心強いことでしょう。

RAFIQでは、より具体的に難民問題を理解していただくために、閉廷後、担当弁護士から裁判のポイントを解説する時間を設けています。次回以降の日程はRAFIQのFB・Twitterで随時お知らせします。私たち市民ができる直接的なアクションとして、ぜひ裁判傍聴に足を運んでいただければと思います。

3.ワン・ワールド・フェスティバル「体験!難民キャンプ」に参加して

2月1日、学校の授業を通して難民問題に関心のあった高校1年の娘と一緒に、扇町公園で開催されたイベント「体験!難民キャンプ」に参加しました。2人ともRAFIQのボランティアは初めてでしたが、皆さんがとてもフレンドリーですぐに馴染むことができました。

さて、当日朝、真っ先にやったのはテントの設営です。このテントはUNHCRの難民キャンプで実際に使われているもので、気密性が高く、設営も簡単で機能の高さに驚きました。隣の国連UNHCR協会のテントでは、調理器具や毛布などの生活用具も展示しており、現物に触れることで不自由な難民生活がイメージでき、とても貴重な体験ができました。

そして、私達の主な役割は、RAFIQのテントに集客するためのチラシ配布でした。難民キャンプの体験に興味を持った方が多く、時間帯によってはテントから溢れるぐらいの集客がありました。また、チラシを受け取る際に難民に関する質問をする人が多く、娘が必死に対応していて、質問に答えられるようにパンフレットを読みこんでいたのが印象的でした。イベントに主体的に関わることができてとても楽しかったようです。

今回、ボランティアとして参加し、難民を取り巻く様々な問題を多くの人に知ってもらい問題意識を持ってもらうため、イベントに出展することはとても意義のあることだと感じました。

RAFIQの活動は多くのボランティアで支えられており、私達のような初めての参加者でも役に立てることはたくさんあります。今後もできるだけ参加していきたいと思っています。少しでも難民問題に関心のある方、ぜひ一緒に活動しましょう。(ボランティア Tさん)

4.「トーク&トーク 入管に収容されている難民を支援して」開催報告

雪がちらつく2月9日、クルド難民の実例から学ぶ「トーク&トーク 入管に収容されている難民を支援して」には約40名が来場してくださいました。

はじめに「クルド人Mさんを支援する会」の周香織さんから、トルコでの凄惨な迫害の状況と、迫害から逃れてきたはずの日本で、日本政府とトルコ政府との関係から、誰ひとりとして難民認定されないクルド難民の厳しい状況についての説明があり、続いて弁護士の弘川欣絵氏から日本の難民認定制度の問題点を、RAFIQ からは共同代表の田中恵子が実際の支援現場からの報告をしました。さらに、急遽クルド難民Mさんご本人が来阪され、自らの辛い体験を自身の声で証言してくださいました。

東京2020に向けた社会安定・安全のため、という名目のもと、多くの難民認定申請者が入管に収容・再収容され、終わりのない長期収容あるいは自主帰国へと追い込まれています。「20年も前から日本に庇護を求めて住んでいるクルド難民たちが、今さらオリンピックだからといって犯罪を犯すわけがないじゃないですか。」彼らの苦悩をずっと側で見てきた周さんの涙の訴えに、会場は鎮まりかえりました。

日本の難民問題を知ることで、今まで見えていなかった他の社会問題に気付くことがあります。誰かが “ひと”として基本的人権すら護られずに追いつめられている原因は、私たちの生き辛さにすべて根っこで繋がっているのだと−−。私たちRAFIQは、消されていく声、なかったことにされる難民たちの声を聞き続け、この社会に伝え続けていきます。

5.映画から難民・移民問題を知ろう(関西の上映情報)

日本や世界の難民・移民問題、そして紛争地の状況などを、数秒に切り取られたニュースや、死傷者数のデータで見ても、なかなか自分のこととして感じられない−−。そこに想像力や共感力を与えてくれるのは、時に文学や映画であったりします。そこには私たちと同じ生身の人間の姿があります。同じ地球に生まれ、いま同じ時を過ごしているのに、生まれた場所、過ごしている場所でこんなにも苦しみ続けている人々がいる−−。

この春には難民・移民問題に関連した映画が多く上映されます。ぜひご覧ください。

『わたしは分断を許さない』

香港、ガザ、シリア、福島、沖縄、朝鮮半島。東京入管に収容されているクルド難民も取り上げられています。

https://bundan2020.com 

『娘は戦場で生まれた』カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞

いまだ解決をみない未曾有の内戦地シリア。娘のために愛する人々の生きた証を残すため、母はカメラを回し続ける。RAFIQは在阪のシリア難民を支援しています。

http://www.transformer.co.jp/m/forsama/ 

『レ・ミゼラブル』2019年度アカデミー賞国際長編映画賞ほか多数受賞

パリ郊外の移民・低所得者が多く住むモンフェルメイユ。 “多文化共生”という理想と、移民・難民排斥という現実社会の闇との間に、希望は見い出せるのか。日本社会でも問い続けなければならない問題です。

http://lesmiserables-movie.com 

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RAFIQ Magazine 2020年 2月号  2020年2月25日発行

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 発行:在日難民との共生ネットワーク RAFIQ

 ホームページ: http://rafiq.jp

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