RAFIQ Magazine
4月号

新型コロナウイルスの感染拡大により全国に緊急事態宣言が出され、外出のままならい日々が続いています。RAFIQでもオンラインによる交流イベント「難民カフェ」を試してみるなど、活動のあり方を模索中です。RAFIQが支援している人たちの多くは、政府の経済対策である一人10万円の給付対象にはならず、日頃、食料支援を受けているフードバンクも休止になるなど、この状況が長引くことへの不安を抱えていることでしょう。私たちにできることを工夫しながら、支えていきたいと思います。

ご寄付のお願い 支援物資の購入機会が増えています。

ご協力いただける場合は、こちらの口座にお振込みをお願いいたします。http://rafiq.jp/support.html#main_supp_03

目次

1.2019年日本の難民認定者数から見えてきたこと

2.4月中旬にアフリカ難民が仮放免されました

3.大阪入管に性的マイノリティ収容者への対応改善を申入れ

4.難民の家族を支援して

5.人権を守ることでコロナ危機を乗り切ろ

1. 2019年日本の難民認定者数から見えてきたこと

3月27日、法務省から2019年の難民認定者数が発表されました。申請者は76か国の10,375名で、このうち難民として認定されたのはわずか44名(認定率0.4%)でした。これは2018年の申請者数10,493名、認定者数42名とほぼ同じ水準で、日本は引き続き世界の中でもきわめて難民認定率の低い国となっています。

参考:2018年難民認定率 カナダ56.4%、アメリカ35.4%、ドイツ23.0%、韓国3.1%等

日本では2019年の申請者のうち83名が「難民である可能性が高いと思われる案件又は本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる案件」(A案件)とされたものの、結果、認定者はその半分程度でした。また、認定されずに人道的配慮で1年だけの在留を認められた人が37名と、日本に庇護を求めてきた人が救済されるにはあまりにもハードルが高いと言わざるを得ません。

このような中で、RAFIQが支援してきた9名(アフガニスタン5名、シリア3名、パキスタン1名)が難民として認定されたことは喜ばしいことではあるものの、これからはより適正に、そして迅速に難民認定が進むように、他の支援団体とも連携しながらRAFIQは活動していきます。

法務省報道発表資料 3月27日

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri03_00004.html

難民支援協会のコメント 3月27日

https://www.refugee.or.jp/jar/report/2020/03/27-0000.shtml?utm_source=JAR%E4%BE%BF%E3%82%8A&utm_campaign=e0c0892519-EMAIL_CAMPAIGN_2020_03_27_05_39&utm_medium=email&utm_term=0_f7a465752b-e0c0892519-24939101
全国難民弁護団連絡会議(全難連)の声明 3月31日

http://www.jlnr.jp/statements/2020/jlnr_statement_20200331_j.pdf

2.4月中旬にアフリカ難民が仮放免されました

大阪出入国在留管理局(大阪入管)に収容されていたアフリカの難民が4月20日に仮放免となりました。この方は、2月に入国し関西空港で収容されました。大阪入管で難民認定申請を行っています。

RAFIQは、保証人・仮放免後の住居・保証金を支援しました。

入管の収容場は、処遇内容の悪さに加え新型コロナウイルスの感染拡大の3つの条件が揃っている所です。早期の仮放免ができて本当によかったと思います。

ご本人は皆さんのご支援にとても感謝して「(仮放免できて)とても幸せ」と言っていました。

入管のコロナ対策として、仮放免の更新が従来は1か月後(1か月の在留)でしたが、2か月後に変わっていました。「旅行申請」「住居変更」などの申請は、電話をしてから来るように言われました。(仮放免者は居住する都道府県から出るときや住居を変更するときは、入管の許可が必要。)

一方、生活給付金を申請するRHQ(難民事業本部)は神戸にあり、手続きの度に公共交通機関を使うので感染のリスクが高くなります。関係機関にはコロナ対策の要望も行っていきたいと思っています。

仮放免者は就労ができず、この方は所持金もほとんどないため、引き続き支援を行っていきます。

参考:<新型コロナ>入管が収容者仮放免方針 3密でのクラスター回避へ

東京新聞 4月17日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020041702100187.html

3.大阪入管に性的マイノリティ収容者への対応改善を申入れ

大阪入管に収容された難民申請者が、同性愛者であることを理由に他の被収容者から隔離されるという扱いを受けたことについて、本年4月1日、他の収容者と同等の扱いを求める申入書を提出しました。入管側は、この隔離措置の目的が本人保護にあるのか、他の収容者保護にあるのか、明らかにしていませんが、結果として、この申請者は他の収容者と同室にしてもらうことができました。

確かに、性的マイノリティの人を施設に収容する際、特別な配慮が必要になる場面は多々あり、個別に対応をしきれない場合にはある程度の制約を課さざるを得なくなってくるかもしれません。しかし、収容という被収容者の権利を大きく制約する場面においては、収容する側はその制約が最低限になるよう努力をすべきです。そのためには、性的マイノリティの被収容者に選択権を与え、その希望を実現することがより大きな不利益を与えるかどうかという点を検討すべきです。性的マイノリティといっても同性愛と性同一性障害とでは問題が異なりますし、その中でもまた一人一人、一人部屋を望む者、共同部屋を望む者、様々です。現在、入管は性的マイノリティであれば一律に隔離する措置を採っているようですが、本人の希望を聞かない一律取扱いというのは、単なる差別に外なりません。

4.難民の家族を支援して

RAFIQが支援している南アジア難民の方の就職が決まり、正職員として就職することになり、大阪府から兵庫県に引っ越しました。この方は、難民認定申請中で在留資格が、「特定活動(就労可)」の方です。

配偶者と、小学生と、1歳の子の4人家族。新しい職場は3月1日から勤務でしたが、学校の関係があり引越しは3月末になり、1か月間は本人一人、1時間半以上をかけて通勤しました。もっと大変だったのは保育所探し。新住居の近くの会員が手伝いました。

市役所で待機児童は1,000人、認可保育所は4月1日入所には間に合わないと言われたので、認可外の保育所も探し、やっと4月1日から入所できました。

その後、市からは希望の保育所に入所できた旨、連絡がありましたが、コロナの関係で認可保育所への入所は現在はペンディングです。

仕事の方も、コロナ関連で週2回の出勤になり、あとは在宅ワークだそうです。

仕事は、母国の生徒さんへのサポートや事務ですが、「母国語を話せるのがとても嬉しい。職場の期待も大きく仕事は大変だが、どんどん新しいことにチャレンジしたい。」と意欲的です。(RAFIQ会員Hさん)

5.人権を守ることでコロナ危機を乗り切ろう

コロナウイルスの感染拡大の中で心配されるのが人権の問題です。

3月31日に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)/ 国際移住機関(IOM)/ 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) / 世界保健機関(WHO)が、感染リスクに対して全人類が脆弱であるとしたうえで、難民を含む移動を強いられた人々、無国籍者、移民の多くが高いリスクにさらされている、という共同声明を発表しました。

https://japan.iom.int/ja/news/press-release/1585947180

私たちの活動も入管収容者への面会支援を中止しています。難民申請の手続きや「難民不認定取り消し訴訟」も中止になり、認定手続が止まっています。

しかし、このような時だからこそ繋がろうと難民支援団体やNGO団体とオンライン会議などでの連携が始まりました。

コロナ感染と人権についてのサイトと要望書などをご紹介します。

「新型コロナウイルスと人権:分断ではなく、団結の時 」

アムネスティ

https://www.amnesty.or.jp/campaign/COVID-19/

「世界規模の新型コロナウイルス感染拡大のなか、国連が次々と人権メッセージを発信」

ヒューライツ大阪

https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2020/04/post-14.html

「新型コロナウイルスと人権」

ヒューライツ大阪

https://www.hurights.or.jp/japan/news2/2020/04/post.html

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RAFIQ Magazine 2020年 4月号  2020年4月25日発行

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 発行:在日難民との共生ネットワーク RAFIQ

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 お問い合わせ:TEL・FAX:06-6335-4440

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