こんにちは
toiee Lab 亀田です。

今日は「マーケティング」において非常に重要なこと「ハウツーと、学習の違い」をパンケーキを使って説明します。

この考えを知っておかないと、マーケティング、ひいては「ビジネスの成否」を分けます。

また、子育てをしている方も参考にしてください。

大学卒業後、本当に人生が始まった時、「差を生むもの」が理解できます。いわゆる「使える人間」と「使えない人間」、「自分で考えられる人間」と「そうではない人間」の違いが分かります。

そうしたら、育て方が変わるはずです。

パンケーキは、日本では「ホットケーキ」と呼ばれています。このホットケーキを美味しく作るコツは、なんだと思いますか？混ぜすぎない、温度管理、材料などなど。色々あると思います。

実は、最大のコツは

1. ホットケーキミックスを買う
2. 説明書通りに、正しく作る

ことです。

一度、子供たちとやってみて欲しいのですが、まず、そこそこ良いホットケーキミックスを買います。平均的なものと、100円ぐらいしか変わりません。

（例えば、「ホットケーキミックス・極(ごく)もち」)

材料は、これで完璧です。あとは、説明書通りに作ります。

例えば、「必ず、牛乳と卵を先に混ぜてから」ホットケーキミックスを入れます。適当に作ると、全部一度に入れてしまいますが、ダメです。

次に、説明書にあるとおり、ざっくり混ぜます。空気を入れるように、すくう動作で混ぜます。

あとは「温度」と「時間」です。書かれている通りにしてください。

• 160度にセットする
• 焼き時間は、3分

今のコンロや、電磁調理器なら「160度」を設定できます（火力が弱いので、ホットプレートは避けましょう）。そして、焼き時間は「片面３分」です。

ぷつぷつとしてきたら・・・ではなく、「３分」測ります。そして、ひっくり返して、２分です。

「温度と時間をきっちり守る」をしてください。

試してみると納得いくと思いますが、「ホットケーキって、こんなに美味しかった？」と思います。何もつけずに食べても美味しいです。もう、人気店に並ぶのをやめるかもしれません。

上の話を信じていただければ、納得するはずです。メーカーが真剣になって実験をして導き出した「正しいハウツー」は、すごい威力があるということです。

炊飯器も、様々な種類の米を試し、水の量を試し、炊き方を様々にテストし、さらにはAI（ニューラルネットワーク）を使って、マイコン制御ルールを構築しています（もう20年も前から）。

だから、どんな米でも（水分量は、米によってかなりばらつきがあります）、十分に美味しく炊けます。これは、かなりすごいことです。

このように、テストされ実験された結果、生み出された「ハウツー」は、その通りに実行することで、大きな成果を生み出せます。

ハウツーは「底上げ」を引き起こします。大量生産のホットケーキの味を向上させ、コンビニに並ぶおにぎりの味を底上げします。

鍋やフライパンとは、パラダイムが全く異なる、スチコンという「調理器」の登場によって、安全で、早く、大量に「ムラなく」、様々な料理が全国の小学校で可能になりました。

スチコンは、中心温度を計測し、何秒維持するかを設定できます。その数値を設定し、具材を適切にカットし、並べる。つまりレシピがあって、それ通りに実行すれば、「ノルウェー料理」「タイ料理」「オーストラリア料理」を小学生たちに味わってもらえます（国際文化を知るための取り組み）。

このように「確立されたハウツー」は、すごい変化を引き起こし、底上げが可能です。

現在、批判も多い「学校教育」ですが、ハウツー化によって、

• 全国の子供達の人数を受け持てるだけの先生を生み出し（先生もハウツーで育てました）
• 先生の授業を標準化（ハウツー）し
• 子供たちもハウツーを学ぶことで、読み書きの能力を向上させる

ことで、教育の底上げを実現してきました。つまり、ハウツーは悪ではありません。底上げには、絶対に必要なものです。

しかし、ハウツーの学校教育が批判にさらされているのは、「底上げの先」が必要になったからです。社会の変化によって、ハウツーでは対応できない部分が出てきたからです。

では、ハウツーの反対にあるものとは、なんでしょうか？

これは「ラーニング（学習）」です。アクティブ・ラーニングという言葉で聞いたことがあるかもしれません。

ここでいうラーニング（学習）とは、「学研の科学（実験キットで遊ぶ）と学習（国語、算数など学校の勉強）」の意味ではありません。

人工知能研究や、認知科学、人工生命、システムダイナミクスなどの分野で使われている「学習」の方を指します。別の言葉では、「適応」と呼んだりします。

ホットケーキミックスと対比して考えてみましょう。

ホットケーキミックスは、ハウツーでした。現代文明に支えられて、ハウツーで作ることができました（買ってきて、温度管理できるコンロを使って、タイマーする）。

一方で、「冷蔵庫にある、適当な材料を組み合わせて、美味しいものを作る」と言うのは、ラーニングです。

その日、その日で、冷蔵庫に残っているものは違います。何か作ろうと思っても、レシピ通りの材料が揃うとは限りません。そんな中でも、じゃがいもを「サツマイモ」で代用したり、鶏肉をシーチキンにして、胡椒を増やし、醤油で臭みを減らして・・・と工夫して、美味しいものを作る必要があります。

このようなとき、「根本的なルール」を知り、どうなるか？を予想し、試行錯誤（味見）しながら作ります。これが「ラーニング」です。

新しい何かを作ること（創造）と、ラーニングは「脳の機能面から見れば同じこと」をしています。

ラーニングという方法は、

• その場、その時の条件に対して
• 良い答えを生み出すこと
• それには「新しい何かを作り出す行為」も含まれる

です。別の言い方をすれば、

• その場、その条件に対して「適応（うまくフィットして、いいようにする）」すること

とも言えます。

マーケティングは、ホットケーキミックスのように「ハウツー」にはなりません。ハウツーでできることは「誰でも」できます。

誰でもできることは「コモディティ」と言います。一般消費財、つまり当たり前で、競争優位性がないものがコモディティです。

例えば、儲かるカフェ、ファンがついて、他よりも高いカフェは、「店に入って、店内で過ごしたら、違いがはっきりわかる」カフェです。

他と代わり映えせず、なんの特徴もないカフェに未来はありません。

その違いを生む方法は、「ハウツー」では限界があります。こうやりなさい、ああやりなさいと書かれた本を読んでやったところで、何も起こりません。他のライバルもみんなできます。

ハウツーに頼るのではなく、「ラーニング」をする必要があります。

効果的なラーニングとは、闇雲な試行錯誤とは違います。

• 原則に従い、仮説検証を行う行為

です。

料理なら、料理の原則があります。例えば、味覚は物理現象です。また臭い消しも物理現象です。どのような現象、因果関係によって、何が起こるか？は、はっきりとしています。

因果関係に基づいて、「何をしたら、どうなるか？」を予想し、実行し、その精度を高めていくことが「ラーニング」です。

ちなみに、因果関係の体系のことを「理論」と呼びます。理論は、学術の世界で取り扱うものです。理論的（体系的）に説明できていないものは、学術の世界では「レポート」や「主張」として分類されます。

なお、ちょっとだけ難しいですが「因果関係がはっきりしているなら、試行錯誤は不要」です。完全に状況がわかっていて、これをやるとこうなるがはっきりしているなら、ハウツーになります。

実は「理論をベースに、仮説検証」が必要になるのは、「不確実性」と呼ばれるものが原因です。

有り合わせで料理することは、不確実性のある世界で「意思決定」することです。味、匂い、食感などの因果関係ははっきりしています。しかし、それを組み合わせた「美味しい料理」となると、完全に予想がつきません。

例えば、すごく美味しい料理ができても、次の日も、次の日も、同じ料理を食べさせられると、飽きます。

どれだけ良い商品、サービスでも、ライバルも同じものが作れているなら、差がないため儲かりません。比較されるのは、価格だけです。

また、「有り合わせで作る」というとき、毎日、毎日、条件がコロコロ変わります。その中で、どうするか？は、その度に考えなければなりません。

ビジネスも同じです。

誰一人、同じ条件にいる人はいません。同じ条件の人がいるとしたら、その人同士で競争が必要になるため、同条件にはなりません（ちょっとややこしい話なので、無視してください。)

つまりは、

「ハウツーは、通用しない。ラーニングが必要」

ということです。

因果関係とは、原則とも言えます。どんなビジネスをしようと変わらないことは、抽象的で、そのままでは意味がありません。しかし、その抽象的なものを「現実に」することができれば、成功は約束されます。

例えば、

「どんなビジネスであれ、顧客から見て、顧客にとって有益な形で、ライバルと決定的な差があることが、成長の条件である」

という言葉は、どんなビジネスでも当てはまります。

問題は「どうやって？」です。どうすれば、そんなことを実現できるの？がわからない限り、「そりゃそうだ。で？？」となります。

しかし、その前に、多くのビジネスパーソンが「ハウツーが溢れる世界」に浸っている結果、

• 原則を見失っている

ように見えます。

これら原則は、50年経っても色あせません。それどころか、50年経って、より洗練された形で蘇ったりします。例えば、セオドア・レビットや、ドラッカーが指摘した「マーケティングの原則」は、クリステンセンによって「ジョブ理論」として、見事に洗練され、蘇っています。

以下のようになります。

1. ハウツーではなく、ラーニングが必要だと理解する
2. ビジネスの原則を集め直す

そして、具体的に行動を起こす場合は、

1. 問いを活用する
2. 得られた答えをつなぎ合わせる
3. インサイトを得る

インサイト（洞察、ああそうかとう感覚）を得たら、

• 素早く試作品を作り、仮説検証する

そして、また、ビジネスの原則を確認し、問いをたて、得られた回答をつなぎ合わせ・・・と繰り返します。

つまり、マーケティングを実践するには、

• 原則を「問い」に変え
• 繰り返しプロセスを作ること

となります。

話が長くなってきたので、最後に「具体例を１つ」あげて終わりたいと思います。

「なぜ、他の商品ではなく、あなたの商品を雇用したのか？」

この問いを顧客（様々なタイプの）に投げかけ、得られた回答をまとめていく（この時も問いを使う）ことが、まずは必要です。

私が行うコンサルティングでは、

1. 原則について知る
2. 問いを使って情報を集め、問いを使ってまとめる
3. インサイトを得る
4. 試作品、仮説検証をするアイデアを出す
5. 実行する（そして１へ）

のプロセスを強力に手伝うことです。私は答えを持っていません（そんなコンサルがいたら、嘘です）。答えを見つけ出すプロセスを手伝うことが仕事です。

ちなみに、このような仕事は「ファシリテーション」と言います。私が、長年、取り組んできたテーマでもあります。

第２期はないと思いますので、もし「ピン」ときたら、一緒に探求しましょう。絶対に、ワクワクするはずです。情熱をかき立て、やる気が出て、使命感を感じ、人生がワクワクするものに変わる。そして、儲かる。

そんなファシリテーション（コンサル）をすることをお約束します。

では、募集準備ができたらお知らせします。