先月号では、言語学習に3つの段階があること、すなわち 1)言語の学習、2)言語を通した学習、3)メタ言語学習 について触れました。
通常、英語の学習という場合は、1の段階を指すことが多いと思います。単語を覚えたり、文法を学んだりなど、自分の興味のあるなしに関わらず、多くの問題に習熟することで入学試験や資格試験に突破する英語力を身につけるわけです。
しかし、外国語の学習というのは、テストでよい点を取ること以上に、好きな映画を観るとか、自分の関心に従ってその言語のネイティブスピーカーと会話をするといった目的があるからこそ、長く楽しく続けられるものです。
そういう意味では、2の段階(言語を通した学習)こそが、本当の意味で外国語の力を育む部分だと言えます。テストに出ないから不要だというわけではなく、実はこの部分を持っているかどうかが、生涯英語力を伸ばし続けるかどうかのポイントになるのだと思います。
今や、理工系の学部に進むにしても、英語で文献を読んだり、英語の用語や表現を検索語とするのは当たり前の時代です。AI技術やバイオテクノロジーも、英語で検索しないと最新の情報は手に入れられません。そして、アニメの世界的ブームを見るまでもなく、日本文化もグローバルな文脈で発信・理解することがますます必要になってきます。
そんなグローバル化の時代に、受験英語的な「1の段階」で英語学習を終えてしまうのはもったいない話です。自分の目的に向けて、必要であればグーグル翻訳なども味方につけながら、英語環境に身を置いていく覚悟が必要です。そのような態度が、結果的にテストでも点数を取るようになる秘訣なのではないでしょうか。
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