6月18日、UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)は6月20日の「世界難民の日」に向けて2020年の世界の難民数を発表しました。(年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート」)
2020年、紛争、迫害、暴力、人権侵害などにより故郷を追われた人の数は、コロナ禍にも関わらず、8,240万人近くにまで増加しました。昨年の7,950万人より4%、290万人増となりました。
庇護申請中で結果を待つ庇護希望者は世界全体で2019年とほぼ横ばい(410万人)。一方、各国とUNHCR合わせた庇護申請の登録数約130万人は2019年から43%、100万人減。日本では、2019年の難民認定申請者10,375人に対して2020年は3,936人と庇護申請者は大幅に減っています。しかし、難民認定率の低さが際立っている問題は解決されず、私たちは次々に「不認定」になっていく難民への支援がたいへんになっています。また、これから増大するであろうビルマ(ミャンマー)難民への対応を注視していく必要があります。
2018年に難民保護の国際的な取り決めである「難民に関するグローバルコンパクト」が締結されましたが、コロナ禍の中でより厳しくなる難民の生活状況等の改善も含めて早急な対応が必要になっています。
UNHCRのプレスリリースの中で、グランディ高等弁務官は「強制移動を解決に導くためには、国際社会のリーダーはもちろん、人種や文化などあらゆる違いを乗り越え、政治への利己的アプローチを捨て、紛争の防止と解決に取り組み、一人ひとりの人権に敬意を持って行動する人材が必要です」と訴えています。
UNHCRプレスリリース 2021年6月18日
「増加を続ける強制移動に終止符を 国際社会のリーダーに行動を訴え」
https://www.unhcr.org/jp/36843-pr-210618.html
UNHCR 数字で見る難民情勢(2020年)
https://www.unhcr.org/jp/global_trends_2020
UNHCR「グローバル・トレンズ・レポート(年間統計報告書)」全文
https://www.unhcr.org/60b638e37/unhcr-global-trends-2020
UNHCRが発表した主な内容についてご紹介します。
世界の強制移動の数は9年連続で増加しています。現在、地球上の1%が強制移動に直面。全体数が4,000万人以下だった2011年の約2倍になりました。世界の難民の大多数、約10人に9人は、自らも危機に直面する近隣地域、低中所得国で受け入れられています。開発の遅れている後発開発途上国は庇護の受け入れ全体の27%を占めます。
紛争や迫害によって移動を強いられた人 8,240万人
内訳)
難民 2,640万人 (UNHCR支援対象者 2,070万人 + UNRWA国連パレスチナ難民救済事業機関支援対象パレスチナ難民 570万人)
国内避難民 4,800万人
庇護希望者 410万人
ベネズエラ国外に逃れた人 390万人
受け入れ国
1. トルコ 370万人
2. コロンビア 170万人
3. パキスタン 140万人 ウガンダ 140万人
4. ドイツ 120万人
難民の出身国 全体の3分の2以上、68%が5カ国に集中
1. シリア 670万人
2. ベネズエラ 400万人
3. アフガニスタン 260万人
4. 南スーダン 220万人
5. ミャンマー 110万人
近隣国への避難 73%
18歳未満の子ども 42%
※2018年~2020年で難民として生まれた子どもは約100万人(年間平均29万~34万人)
無国籍者 数百万人
※94カ国の政府、他機関の集計に基づいた2020年末時点の無国籍者の数は420万人。しかし、多くの国で無国籍者に関するデータがないため、実際の数はさらに多いと推測される。
|